美術室は調理室や理科室といった特別教室が集まる場所にあるから、あんまり人の姿はない。
教室の中に入ると、壁一面を覆う大きな絵に圧倒される。
「うお、こりゃデカい!」
「ここの卒業生の有名な画家さんが寄贈してくれたんだって」
巨大なサイズを生かした雄大な山々や、切り立った崖や、流れ落ちる滝が描かれている。
こうして見ても特に不審な点は見当たらない。
というか、正直言って絵の内容なんて詳しく覚えてないんだよなあ。……ん?
「あれ? この絵に虎なんていたっけ?」
「虎?」
「ほら、崖の上」
この絵に動物は描かれていなかったはずだけどな。それにしても大きくて力強くて立派な虎の絵だ。
『ガオーーッ!』
「わっ⁉︎」
とつぜんの咆哮に驚いた私は飛び上がった。
いま、たしかに絵の中から聞こえてきた!
「おい! この虎、動いてるぞ!」
志狼君の言う通り、絵の中の虎が崖の上で天を仰ぎ、何度も咆哮している。
まさかこの絵ってデジタル? まるでテレビのアニメーションを見ているみたい!
「虎太郎!」
とつぜん龍生君が絵の中の虎に向かって叫んだ。
「龍生君? どうしたの?」
「あの虎は虎太郎じゃ! 十二支の虎の、虎太郎なのじゃ!」
「え⁉︎」
あの虎が仲間の十二支?
たしかにまるで生きてるみたいに動いているし、咆哮しているけれど、絵だよね?
「我があやつを見まちがうはずがない! おい、虎太郎よ! 我の声が聞こえぬのか!」
龍生君が何度も呼びかけるけど、虎は狂ったように声をあげ続けるばかり。
たまらず龍生君が駆け寄り、絵を破壊するような勢いでバンバンと叩いている。
こんな取り乱した龍生君、初めて見た。
教室の中に入ると、壁一面を覆う大きな絵に圧倒される。
「うお、こりゃデカい!」
「ここの卒業生の有名な画家さんが寄贈してくれたんだって」
巨大なサイズを生かした雄大な山々や、切り立った崖や、流れ落ちる滝が描かれている。
こうして見ても特に不審な点は見当たらない。
というか、正直言って絵の内容なんて詳しく覚えてないんだよなあ。……ん?
「あれ? この絵に虎なんていたっけ?」
「虎?」
「ほら、崖の上」
この絵に動物は描かれていなかったはずだけどな。それにしても大きくて力強くて立派な虎の絵だ。
『ガオーーッ!』
「わっ⁉︎」
とつぜんの咆哮に驚いた私は飛び上がった。
いま、たしかに絵の中から聞こえてきた!
「おい! この虎、動いてるぞ!」
志狼君の言う通り、絵の中の虎が崖の上で天を仰ぎ、何度も咆哮している。
まさかこの絵ってデジタル? まるでテレビのアニメーションを見ているみたい!
「虎太郎!」
とつぜん龍生君が絵の中の虎に向かって叫んだ。
「龍生君? どうしたの?」
「あの虎は虎太郎じゃ! 十二支の虎の、虎太郎なのじゃ!」
「え⁉︎」
あの虎が仲間の十二支?
たしかにまるで生きてるみたいに動いているし、咆哮しているけれど、絵だよね?
「我があやつを見まちがうはずがない! おい、虎太郎よ! 我の声が聞こえぬのか!」
龍生君が何度も呼びかけるけど、虎は狂ったように声をあげ続けるばかり。
たまらず龍生君が駆け寄り、絵を破壊するような勢いでバンバンと叩いている。
こんな取り乱した龍生君、初めて見た。


