巫女&十二支擬人化男子、学園をナイショで守護してます!

 そんな感じで順調に劇は進行して、いよいよクライマックスの鬼ヶ島(おにがしま)のシーンになった。

 悪い鬼が反省して、めでたしめでたし。となるはずなんだけど……ここで会場がざわめき始めた。


「あれー? 鬼はいつ出てくるの?」

「ぜんぜん話が進まないじゃん」


 待っても待っても、鬼がなかなかステージに出てこない。

 鬼役の子たち、どうしたんだろ。緊張して出てこられないのかな?

 早く劇を終わらせないと三匹が人間の姿に戻ってしまうよ。


「ガアァァーー!」


 大音量の咆哮(ほうこう)が響いて、私はビックリして飛び上がった。

 うわ、すごい効果音! こんな演出あったっけ?

 ズシン、ズシンと大きな音と振動が、向こうのステージ(そで)からこっちに近づいてくる。そして……。


――ぬうっ!


 ステージの天井に頭が届くほどの巨大な物体が現れて、私は腰を抜かしかけた。

 真っ赤な皮膚。ゴツゴツした(こぶ)に覆われた全身。ギョロリと血走った目に、鋭い牙。

 こ、これはまさか、本物の……。


「鬼だ!」


 とっさに叫んだ志狼君の口を、子猿の慧申君の手が横からバシッとふさいだ。

 志狼君、叫ぶ気持ちはわかるけど人間語は禁止!


「あれは勾玉に封印しとった赤鬼やな!」

「なぜこんな所に現れたのじゃ!」


 ああぁ、宙太君と龍生君までステージに飛び出てきちゃった。

 いや、それどころじゃない。本物の鬼をみんなに見られてしまった!

 焦りながら客席を見ると、みんな目を丸くして声を失ってしまっている。

 それが……一転(いってん)してドッと大歓声が上がった。