巫女&十二支擬人化男子、学園をナイショで守護してます!

「んー! 今日はちょっと風が強いけれど、いい天気!」


 学校の屋上に立って、私は思いきり両腕を上げて背伸びをした。

 見下ろしたあたり一面、数えきれないほどの家々が並んでいて、そのずっと向こうにそびえる山が見える。

 朝のホームルームが始まる前に、この見晴らしの良さをたっぷり味わうのが最近のマイブームだ。

 実はあのとき以来、屋上のドアのカギが壊れちゃってて、出入り自由になっているんだよね。

 私以外の生徒や先生は、誰も気がついていないけれどね。

 そのうちカギが付け替えられてしまうだろうから、それまではこの景色を楽しませてもらおうっと。


「由巫、おはよう」

「あ、志狼君。おはよう」


 志狼君が笑顔で近づいてきた。

 ここには私だけじゃなく、十二支のみんなもちょくちょく来ている。

 他の生徒や先生が来ないから、周りを気にせず話ができる貴重な場所だから。


「鍋島先生、やっぱり姿を消しちゃったね。今ごろは一族全員でベトナムに移住しているのかな?」

「ああ。学校での自分の痕跡(こんせき)を完全に消しているんだから見事なもんだよ」


 先生がこの学校の教師だったことを……というか先生の存在そのものを誰も記憶していないんだ。

 宙太君が「俺でもここまで完璧にできるかどうか」って感心するくらい、徹底的に存在が消えていた。

 やっぱりすごく優秀な化け猫だったんだなあ。やたら自画自賛してたことはあるね。