レモンくんは白色のマグカップをテーブルに置く。その指をピアノのように机に滑らかにすべらせた。 「オレはほとんどフルーツとして生み出されない。数少ないオレが生み出されるのはたいていミカンと同時。オレたちが兄弟なのはそれが理由だ」 そして、とレモンくんは息を吸う。 「フルーツとして呼び出されるのはミカン。オレはその付属品だった」 思った以上に痛みを抱えたレモンくんの表情に、私は息を呑む。