いつか絶対校則違反で訴えてやろうと思いながら、わたしはキーホルダーを自分の元へと取り戻す。
「……ねえ、読書ばか」
「なに、ばかオタク」
「キーホルダーわたしのだって分かってたでしょう?」
「教室であんなでかい声で話してたらね」
「…なんで教えてくれなかったのよ」
「教えて教えてあげようとは思った」
「うそ」
「さあ」
じっと互いに睨み合ってバチバチと言葉を探す。
じつはこの男、わたしのクラスメイトなのだ。ならばわたしの慌てた様子も教室で多少は目にしたはず。
なのに放置。もしかしてその状況を楽しんでいたのだろうか。……親切心で声をかけてくれたら良いものを。
考えてもこの男の思考は読めないし、これ以上話すと疲れるし埒があかないのでわたしの方からふい、と視線を外した。
そしてタッと軽い足取りで図書室の出口へ立った。
「キーホルダー見つけてくれた恩人だから今日は見逃してあげる。本でわたしの推しへの気持ちを勉強しといてくださーい」
「しつこい」
「…うるさいわからず屋」



