ーー人生っていうのは、ほんとうに何が起こるのか分からない。



「っ……!?」



突然光に満ちた私室。

眩しくて目も開けられず、視界が慣れた頃には何秒経っただろうか。


ーーそして"物"だったそれに目を向けると、あらわれたのは黒い人影。



「…、あ?」



戸惑ったように声を発したそれは何なのか。


ごくりと唾を飲み込んで、ハッキリと輪郭が見えてきた人影の正体を暴いてやろうと、少女は大きな目を訝しげに細める。

人影はごそごそと何かを確認している様子だった。



「……へえ、ふーん…」

「……どちらさまですか」



少女の声が堅いのは言うまでもなく。

呼びかけにより、やっと少女の声に気づいたという人影ーーそれは男だった。


彼の姿をみた途端、少女の大きな目が見開かれる。



「"誰"だって?ひどいなあ」

「っえ、」



戸惑いを隠せない少女の様子に、男は不敵な笑みを浮かべた。



「毎晩お前に抱きしめられてる者ですが」