ふっとイケメンさまのこぶしから力が抜けたのもあって振り向くと、イケメンさまは背後にせまった男を蹴りで返り討ちにした。
それから、獲物を見すえるような視線を流し目で向けられて、ゾクッと肩が跳ねる。
周りを取りかこむ男たちと、うしろのイケメンさまから同時に攻撃をしかけられて、誰もけがをさせずに対処するのはむり――!と冷や汗をかいたとき。
「――はい、そこまで」
パンッと手をたたく音がひびいて、イケメンさまのこぶしが止まったすきに、男たちの攻撃をかわして、受け止めて、やりすごした。
私と同様に、男たちも声の主が気になったんだろう。
彼らが攻撃する手を止めたのを見て顔を向けた先には、体育館のすみに1人立っている赤髪の男がいた。



