死ぬ前に、これだけは伝えておきたくて、と真面目なトーンで言うと、大我先輩は生暖かい目で私を見つめる。
「…約束だからな。死んだりしないから、教室に戻るぞ。そろそろ授業が始まる」
「ま、待ってくださいっ、私、こんな状態で授業なんて頭に入ってきませんよっ!」
私の手を引いて屋上の扉に向かう大我先輩へうったえると、キーンコーンカーンコーンとチャイムが聞こえてきた。
はっ、もう授業の時間…!
「急ぐぞ」
「わっ、ま、待ってくださいって、大我先輩!」
早足になった大我先輩に引っぱられて、せわしなく足を動かす。
今日も、夢みたいな現実が、私を命の窮地に追いやりながら、幸せをいっぱい運んでくれた。
[終]



