私はせまってくるこぶしをいなして、攻撃の軌道(きどう)を変えた。

 別の方向から伸びてくる足はひざを上げてガードして、「暴力はよくないですよ」と言葉を返す。




「――お前…」




 うしろからつぶやき声が聞こえたあと、私の肩越しにイケメンさまが男たちをなぐろうとして、ぎょっとしながらイケメンさまのこぶしを抑えこんだ。

 周りの男たちとはくらべものにならないくらい重いこぶしで、体勢が悪いのも相まって押し負けそうになる。




「やめてくださいっ、力は正しく使うものです!」


邪魔(じゃま)をするな。それともまずは、お前からやるか?」


「えっ?」