「優衣のはいいでしょ?ケンカとは縁がないかよわい女の子だし、回収したって“最強”の箔付けにはならないからさ」
「…あぁ」
大我先輩は、目を丸くしている優衣先輩をちらりと見て答えると、遠藤先輩に視線を戻して口を開く。
「だが、俺が欲しいのは校章じゃなくて、あんたに勝ったっていう――」
「あのね、一番強いやつに勝てば最強って証明できるんだよ。覚えておきな、不器用くん?」
「…遠藤先輩は、吉田強二さんに負けたことがあるんですか?」
気になって尋ねると、遠藤先輩はほほえんで答えた。
「うん、負けたよ。病院送りになった。だからいいでしょ?別に俺とは戦わなくて」
「知暖先輩…」
遠藤先輩が病院送りにされるなんて…吉田強二って、どれだけ強いんだろう。
まぁ、彼が言うことももっともだし、と私は大我先輩に顔を向ける。



