【短】不良ぎらいだけど面食いな私VS超イケメンな不良

「悩みがあるんです。こういうときはいつも組手をして頭を空っぽにしていたので、どうしても体を動かしたくて」




 大我先輩はクールな瞳でじっと私を見つめて、うなずく。




「分かった。本気でやってもいいんだな?」


「はい。私も手加減なしでお相手します」


「…学校に着いたら、グラウンドで」


「分かりました」




 場所の指定にうなずいて、私たちは言葉数少なく、学校に向かった。

 自然と緊張してくる体を、深呼吸で落ちつかせる。

 きちんと朝から登校してくる不良たちと一緒に校門を通り抜けると、私たちはまっすぐ校庭を目指した。


 砂の地面の上で、制服姿のまま試合をするなんて初めてだけど…心の準備はできている。

 私と大我先輩は昇降口(しょうこうぐち)から校庭に続く階段にスクールカバンを置いて、校庭のまんなかのほうへ移動した。




「俺が勝ったら、校章をもらう」


「はい。…よろしくお願いします」