彼は私の前に来て、おどろいた顔で足を止める。




「女…?」


「…!!」




 深海を切り取ったような濃い青色のつり目、細い筆でシュッと引いたような眉、まっすぐ通った鼻筋、薄く開いた血色のいい唇。

 両耳につけたシルバーのフープピアスと、左の前髪をクロスして止めているヘアピンは、オシャレに気を遣っているあかしなのか。


 まさかとつぜん現れた不良が、顔面国宝級のどイケメンさまだったなんて…っ!

 そのご尊顔(そんがん)を100連写して部屋中に貼りつけたい!24時間365日ながめて至福を感じたい!

 たとえその正体が不良だったとしても!!




「…下がってろ」


「はいっ!…はっ」