「すごい…兄さんも真陽先輩も、ありがとう」
「いや。けがはないか?」
「うん、大丈夫。…真陽先輩、よかったらうちに来ませんか?兄さんはすぐバイトに行っちゃうけど、なにかお礼がしたいから」
「いえ、当然のことをしたまでです。お礼なんていりませんよ」
「そうですか…真陽先輩って強いんですね。大の男をやりこめちゃうなんて」
「子供のころから空手をやっているので――」
爽くんに笑顔で言われて、同じく笑顔で答えたあとにハッとする。
こういうところが、大我先輩から“タイマンしろ”って言われてばかりで、優衣先輩みたいにやさしい言葉をかけられない理由…!?
もしかして私、大我先輩に女子として見られてないとか!?
「へぇ、空手!兄さん、知ってた?」
「あぁ」



