恋心を自覚したのに、想いを寄せる相手に好きな人がいそう、なんて…。
しかもその相手が大納得の優衣先輩だなんて、私はいったいどうしたらいいのか。
そんなふうにもんもんとしながら、やっぱり私には「タイマンしろ」と言ってくる大我先輩にことわりの言葉を返して、放課後まで過ごした。
スクールカバンを持って階段に向かうと、ちょうど上から下りてきた大我先輩とはち合わせる。
「真陽。一緒に帰るか」
「は、はい…」
顔を合わせただけで当たり前のようにさそってくれる大我先輩にキュンとしたいのに、すなおによろこべない。
しかし、おさそいをことわる気もまったくない。
恋心って難儀なものだ、と思いながら、私は大我先輩と学校を出た。