「俺の目的だ。この街は治安が悪いから…強くなきゃ、鈴や爽、母さんを守れない」
「…!」
家族を、守るために…。
ただ、強さにこだわっていたわけじゃないんだ。
私は目をそらしてお金をはらいながら、どぎまぎする心を落ちつかせる。
大我先輩は、“だからタイマンに応じろ”って言いたいんだろうけど…私には、それが正しいことなのか分からない。
“不良”として強くなることが…正しいことなのかどうか。
「…大我先輩、バイト、何時までですか?」
「…18時だ」
ふしぎそうな目をしつつ答えてくれた大我先輩を見て、笑顔を向けた。
「私、それまで外で時間つぶしてくるので、よかったら一緒に帰りませんか?」
「…かまわないが、それは“答え”か?」



