爽くんと鈴ちゃん…。
大我先輩はレジのパネルをタッチしながら、営業モードで「ダブルバーガーとチーズバーガーと――」と注文を繰り返す。
私は確認の質問に「はい」と答えて、財布を出しながらおずおずと小声で聞いた。
「ここでバイトされてるんですか…?」
「あぁ。父親が早くに亡くなって、母親は病弱で長時間働けないから、俺も働いてる」
「そうだったんですか…」
大我先輩がそんな苦労をしてたなんて…。
確かに、思い返してみれば放課後に声をかけられたことってあんまりないかも。
今までも学校帰りにバイトしてたのかな?
「…俺は、家族を守るために最強でありたい」
「え?」
ぼそっと言われた言葉を聞いて思わず大我先輩を見つめると、クールな顔で見つめ返された。



