「あの男は相手にしたんだろ」
「それは優衣先輩がおそわれていたからです。大我先輩と野良試合をする意味はありません」
「どうして俺とだけ戦わないんだ。1年の校章はほぼ集め終わったのに、寺岡の校章だけ、いつまでたっても手に入らない」
「はぁ…何回も言っていますが、力は正しく使うものです。正式な試合でもないのに、ただ強さを誇示するために戦うことなんてできません」
まっすぐに大我先輩を見つめると、大我先輩は眉根を寄せて私を見つめ返し…。
ぼそっと、つぶやいた。
「俺には、目的がある。“最強”になるために…滝高生、全員に勝たないといけないんだ」
凛とした瞳に射抜かれてドキッとしたものの、私は「力は強さを誇示するために使うものではありませんよ」と言って大我先輩に背中を向けた。



