大我先輩、やさしい…。
ドキドキと胸が音を立てるのを聞きながら、私は変態男をかついだ大我先輩と一緒に、職員室へ向かった。
この男が女子トイレに入りこんで優衣先輩をおそっていました、と話して処分を任せると、大我先輩と職員室を出る。
「寺岡」
「はい、なんですか?」
「俺とも戦え」
私に体を向けて、闘志が宿る瞳でまっすぐに私を見る様子は、いつも通り。
私はなんとなくがっかりしながら、いつものように「おことわりします」と答えた。
1階にいたのも、私を追ってきてのことだったのかな…。
大我先輩に追いかけられるなんてうれしいことのはずなのに、目的を考えるとすなおによろこべないのはどうしてだろう。



