「大丈夫ですか。おけがはありませんか?」


「は、はい…ありがとう、ございます…」




 美少女はつかまれていた手首を押さえながら、パチリ、パチリと目を丸くして答える。

 鈴が鳴るようなかわいいお声に、完璧美少女現る、と心のなかでつぶやいた。

 私と同じく、赤いリボンを結んだ黒いセーラー服を着ているところから察するに、滝高の生徒だとは思うのだけど…。




「私は1年3組の寺岡真陽と言います。美少女さんのお名前は?」


「あ…えっと、私は笹森(ささもり)優衣(うい)です。2年2組、だよ」




 眉を下げつつ、ひかえめにほほえむお顔が美にあふれていて、「はぅっ」と声がもれた。

 2年生に女子がいたなんて…それもこんな美少女が…!