「ぅぐッ!?」


「…はっ!」




 くの字に折れてうしろにたおれる男を見てから、やってしまったと我に返って右手を背中に隠した。

 たとえ正当防衛でも、暴力ざたとして認定されてしまうから、今後は手を出さないようにしようと思っていたのに…!

 せっかく空手の成績で名門校の特待生枠をかくとくしたのに、カツアゲの仲裁(ちゅうさい)に入ってそれが白紙になってしまった、今年最悪の出来ごとの再来が~!


 あぁぁ、と奥歯をかみしめてギュッと目をつぶると、一瞬、あたりが、しん…としたような気がした。




「あの女…」




 どこからかそんなつぶやきが聞こえて目を開けると、周りの男たちが私をギラギラした目で見ている。




「あ、いえ、今のは正当防衛のつもりで、決して故意に手を出そうとしたわけでは…!」


「滝高最強は俺だぁ!」


「へっ!?」