「あ、そうだ。すぐ分かると思うけど、うちの先生にもさからわないことをオススメするよ。みんな滝高のOBだし、退学になりたくはないでしょ?」
ピリついた空気をみずからこわすように、赤髪の男は軽く言った。
私の近くでため息をついたイケメンさまは、大人しく体育館の入り口のほうへ歩いていく。
「滝高へようこそ、新入生たち。もうすぐ先生たちが来るから、なぐり合いはほどほどにね」
そう言い残し、赤髪の男もイケメンさまに続いて体育館を出ていったものの、こちらは乱闘再開、という空気にはならなくて。
にらみ合うくらいでおたがいに距離をとる周りの男たちを見てホッとしながら、私はあの2人のことを考えた。
たぶん、イケメンさまも赤髪の男も上級生なんだよね…?



