「血の気が多いのはいいけど、入学初日に2年が1年を狩りつくすのはかわいそうでしょ?」


「…遠藤(えんどう)知暖(ちはる)




 イケメンさまがぼそっとつぶやいたのが、彼の名前なんだろうか?

 遠目からでもイケメンな気配を感じる赤髪の彼は、穏やかな声で続ける。




「高校生活、長いんだからさ。そう急ぐことはないって。もうすぐ入学式も始まるし、いったんお開きね」


「あぁ?知らねーやつに命令されるいわれはねぇよ」


「…かみつく相手はえらびな?1年生」




 変わらず穏やかなのに、背筋がゾクッとするひびきを持った声とともに、赤髪の男から刺すような空気が放たれて、思わずみがまえてしまった。

 周りの男たちはそれだけで力の差を思い知ったのか、全員がだまりこんでしまう。

 あの男…いったい何者…?