「…なんだ?」




 “仁木(にき)大我(たいが)”くんは、ストレートの黒髪に青いつり目をした、不機嫌(ふきげん)そうな顔つきのイケメンだった。

 教室のなかから出てきた仁木くんは、ちらりと私を見て眉をひそめたあとに、やさしそうなイケメンの人を見る。

 イケメンな人は私に向けたのと同じ、愛想のいいほほえみを仁木くんに向けて言った。




「きみさ、2年のトップとして、この子が平穏な学校生活を送れるように守ってあげてよ」


「…」




 2年のトップ…?平穏な学校生活…??

 話についていけなくて、イケメンな人と仁木くんを交互(こうご)に見ていると、仁木くんの視線も私に向く。

 じっと見つめられて緊張(きんちょう)していると、仁木くんはイケメンな人に視線を戻して口を開いた。




「それはいいが、俺の頼みも聞いてもらおうか」


「頼み?」


「俺とタイマンを張れ」