【短】ふびん女子は、隠れ最強男子の腕のなか。



「…優衣のぜんぶ、俺が守ってあげるから。安心して」


「知暖先輩…ありがとう、ございます」




 ほおを赤くして、知暖先輩のYシャツのそでをきゅっとつかむと、先輩はほほえんで手をつないでくれる。

 ドキドキする帰り道をたどって、電車にゆられながら従弟たちの通う学校へ向かった私は――。




「いた…!健!」


「え、姉ちゃん!?なんで学校に…!」


「健が心配になって、様子を見に来たの。元気にしてる?大変なことはない?」


「う、うん…てか、その人誰?」


「初めまして。俺は遠藤知暖、優衣の彼氏だよ」


「はぁ!?」




 無事に弟の姿を見つけてほっとしたんだけど、知暖先輩に敵意をむき出しにする健にあたふたしながら、2人に取り合われることになってしまったのだった。




[終]