【短】ふびん女子は、隠れ最強男子の腕のなか。



「優衣は、どうするの?弟くんには滝高に転校しちゃったこと、言う?」


「あ…」




 私たちはこれから、従弟(いとこ)たちが通う名門校へ行って、弟の(けん)がちゃんと名門校に通わせてもらっているか確認する。




「…健たちは、家から学校に通ってるはずなので。私もお嬢さま学校で元気にやってるよ、って言おうかなと」


「そっか。じゃあ、いったん家で着替えていかないとね」


「はい。ありがとうございます、知暖先輩。一緒に行ってくれて…」


「ううん。俺も弟くんにあいさつしたいから」


「…はい」




 照れながらほほえむと、知暖先輩は笑って「優衣」と甘く私を呼んだ。

 キスをするときの合図だって分かって、私はドキドキしながら少し足を止めて、知暖先輩に顔を向ける。

 知暖先輩は私のほおをするりとなでて、ゆっくり唇を重ねた。