【短】ふびん女子は、隠れ最強男子の腕のなか。

「もういいね?…行こう、優衣」


「は、はい…それじゃあ、またね、真陽ちゃん、仁木くん」




 にっこり笑って話を終わらせた知暖先輩に続いて、2人にあいさつをすると、真陽ちゃんは笑顔を返してくれて、仁木くんはうなずいてくれた。

 知暖先輩とまた階段を下りて校舎を出てから、私はとなりを歩く先輩を見て首をかしげる。




「あれで、よかったんですか?」


「うん。最強の称号なんて興味ないから。俺は、優衣を守れる力があればそれでいい」




 知暖先輩はほほえんで、ズボンのポケットから新品同様の校章を取り出した。

 もしかして、私の校章…?




「これは誰にも渡さない。もちろん、優衣自身も」


「!」




 知暖先輩は手のひらの上にある校章を見つめてから、私の肩に手を回し、ちゅっとほおにキスをする。

 かぁっと赤面すると、知暖先輩は甘く目を細めて笑った。