【短】ふびん女子は、隠れ最強男子の腕のなか。

「遠藤先輩のそれ、大我先輩に渡していただきます」


「ふぅん…きみたち、手を組むことにしたんだ?」


「恋は盲目ですから!とは言え、私は大我(たいが)先輩が(かな)わなかったときの代打です」




 妖しく笑う知暖先輩に、真陽ちゃんは元気よく答える。

 “恋は盲目”って…もしかして真陽ちゃんと仁木くんって、そういう関係なの…!?

 私の校章って、確か知暖先輩にあずけてたよね…?




「ははっ、おもしろいね。でも俺たち、これから大事な用があるんだ。全校生徒分の校章を集めたその行動力に免じて、強二(きょうじ)への挑戦権はあげる」




 知暖先輩は学ランのえりにつけていた校章を外して、仁木くんに投げ渡した。




優衣(うい)のはいいでしょ?ケンカとは縁がないかよわい女の子だし、回収したって“最強”の箔付(はくづ)けにはならないからさ」


「…あぁ」