「きみは手助けが必要そうだね」


「え……?」




 つぶやくような、ひかえめな声が聞こえて視線を戻すと、イケメンな人はにこりとほほえんで、「おいで」と私にやさしく声をかけた。




「この学校で平和に過ごすために、となりのクラスのやつにあいさつしに行こう」


「あいさつ……?」




 きょとんとして彼を見た私だけど、彼が少し離れて、私を待つように見つめていることに気づいて、とりあえず席を立った。

 彼はにこりとほほえんで、教室の外へ歩いていく。

 おずおずとその背中についていくと、廊下にも不良男子たちがいっぱいいたけど、誰にも声をかけられることなく、となりの教室に着いた。


 イケメンな人は教室のなかをのぞいて、口を開く。




仁木(にき)大我(たいが)。ちょっと出てきてくれる?」