【短】ふびん女子は、隠れ最強男子の腕のなか。



 家でゆっくりしたり、街へデートに出かけたり、知暖(ちはる)先輩の甘さにドキドキしっぱなしだった土日が明けて、ふたたび学校に来た月曜日。

 5時間目の終わりに、私たちは一足早く教室を出た。




遠藤(えんどう)知暖(ちはる)


「ん?2年トップと1年トップがおそろいで、どうしたの?」




 知暖先輩と階段を下りると、仁木(にき)くんと真陽(まひる)ちゃんに出会う。

 “2年トップ”は仁木くんとして、“1年トップ”って…もしかして真陽ちゃんのこと?


 あのあと、仁木くんは様子を見に教室まで来てくれて、知暖先輩にいやなことをされた、っていう誤解は解けたはずなんだけど。

 いつもより近づきがたい、ケンカを売る直前、みたいな顔をした仁木くんは、知暖先輩をまっすぐに見て口を開いた。




「あんたにタイマンをもうしこむ。…残りは、あんたと笹森(ささもり)の校章だけだ」


「え…」