【短】ふびん女子は、隠れ最強男子の腕のなか。

 数秒後に、そっと顔を離して、大人っぽく私を見つめる。




「ごめん、がまんできなかった。…あのね、優衣にひとつ伝えなきゃいけないことがあって。凛恋さん、今日から家に帰るって」


「えっ?」


「今夜から、俺と2人でもいい?」




 じっと見つめられて、私の心臓はバクッ、バクッとさわがしくなった。

 ち、知暖先輩と、今夜から2人っきり…!?




「優衣がいやだったら…」


「い、いやじゃないですっ!でも、ドキドキして…っ」


「ふふっ、俺も。…本当はね、優衣をよそに行かせたくないんだ」




 知暖先輩は私のほおをなでて、どこか妖艶(ようえん)に目を細める。




「俺のわがままを聞いてくれるなら、うなずいて。俺はこれからも、優衣と一緒にいたい」


「っ…はい…私も、知暖先輩と一緒にいたいです…!」




 ドキドキを乗り越えて答えると、知暖先輩はうれしそうに笑って、私にキスをした。