【短】ふびん女子は、隠れ最強男子の腕のなか。



「どうして…私なんか…」


「“なんか”って、優衣は充分魅力的な女の子だけど?」




 知暖先輩は笑って、私を見つめながら目を細める。




「不良におびえてるかよわいところは守ってあげたくなるし、家族想いでやさしいところはいいなって思うし」


「え…っ」




 かぁっとほおに熱が集まるのを感じていると、知暖先輩はほほえんだまま続けた。




「ひかえめで、健気(けなげ)で、すなおで、ひよこみたいに俺についてくるところはかわいいし。料理は毎日食べたくなる」


「そ、そんな…っ」


「そうやって顔を赤くしてるところもかわいいよね。朝起きて顔を合わせたら、“おはようございます”ってほほえんでくれるのもかわいくて…」




 こ、これ、もしかしてまだ続くの…っ!?

 知暖先輩にそんなほめ殺しにされたら、私、ドキドキが激しくなりすぎて、熱が出ちゃう…っ!