【短】ふびん女子は、隠れ最強男子の腕のなか。



「…ごめん、優衣がいやがるようなこと、しちゃった?俺といるのがいやだったら、強二(きょうじ)に代わりを頼むから、1人にはならないで」


「っ…違うん、です…」




 あくまでもやさしい知暖先輩の言葉に、胸が温かくなるのに、やっぱり苦しくて。

 私はぎゅっと目をつぶって、うつむきながら罪深い自分の気持ちを吐き出した。




「私が勝手に…傷ついちゃって…!知暖先輩が凛恋(りこ)さんと付き合ったんだって思ったら、そばにいるのがつらくて…っ」


「え…?」


「ごめんなさい…っ。知暖先輩はやさしいだけって分かってるのに…知暖先輩のせいじゃないんです、私が…」




 勘違いしないでって言われてたのに、知暖先輩のこと、好きになっちゃったから。

 昨日の夜に見た光景を思い出して、涙がにじんでくる。

 ぎゅうっと胸を押さえつけるように両手をにぎりこむと、私の横を歩く足音がして、肩に手を置かれた。