【短】ふびん女子は、隠れ最強男子の腕のなか。



 中央の昇降口(しょうこうぐち)に差しかかったとき、下駄箱(げたばこ)のあいだからピアスやアクセサリーをたくさん身につけた不良男子が2人現れる。

 私は少し後ずさって、すぐに去ってしまおうと、頭を下げてから廊下の奥に行こうとしたのだけど。




「待てって、乱暴なことはしねぇからさぁ?」




 がしっと二の腕をつかまれてしまって、逃げられなくなった。




「あ、あの、私、今用事があって…っ」


「そんなのあとでいーって。俺らと楽しいことしよーぜ?」


「っ…」




 やっぱり、1人で校内を歩くなんてよくなかったかな…。

 後悔しながら、どうやって逃げようか考えていたとき。




「その手、離して?」




 知暖先輩の声がして、安心と胸の痛みが同時におそってきた。