【短】ふびん女子は、隠れ最強男子の腕のなか。

「それで許したのか?女が1人で歩くにはあぶない学校だろ」




 仁木くんは眉根を寄せて、さらに不機嫌そうな様子で言った。

 うそをついたせいで、知暖先輩の印象が悪くなっちゃった…っ。




「あ、ち、違うの、本当はちょっと、知暖先輩から離れたくて…1人で、出てきちゃったんだ…」


「…。いやなことをされたなら、本人に“いやだ”って言え。俺が味方してやる」


「えっ?」




 仁木くんは私の手首をつかむと、階段の上に私を連れていく。

 ぽかんとしてから、「あ、そういうわけじゃなくて…!」と仁木くんを止めようとしたんだけど、3階には知暖先輩が下りてきていた。




「おい、あんた。笹森がいやがることをするな」


「…優衣」