「優衣、怖かったら目、閉じて、耳ふさいでて?」
「は、はい…っ!」
思わずこくこくうなずくと、知暖先輩はにっこり笑ったあとに、不良男子たちへ冷たい視線を向ける。
不良男子たちは一斉におそいかかったのだけど…知暖先輩は軽やかに手足を動かして、攻撃をきれいに避けながら反撃した。
目の前で起こるなぐり合いなんて、怖いはずなのに…知暖先輩の動きがあまりにも華麗だから、私は目を大きく開いて見惚れてしまう。
夢中になって知暖先輩をながめているうちに、不良男子たちはいつの間にか全員たおれてしまった。
「…すごい…」
腰に手をついて不良男子たちを見下ろす知暖先輩を見て、ほぅっと心の声がもれる。
知暖先輩は振り向いて私を見ると、目を細めて少しいたずらに笑った。



