「そうだ、最近調子に乗ってるみてぇじゃねぇか!」


「はぁ…かわいい女の子の前で口汚くさわがないでくれる?」


「「なっ…」」




 ビクビクして知暖先輩と不良男子たちの様子を見ていると、知暖先輩は目を伏せてお弁当にふたをした。

 不良男子たちは怒ったように顔をゆがめると、私を見て手を伸ばしてくる。

 おそわれる…っ!?




「この状況で“最悪”を選ぶとか、お前たちバカ?」


「いぎッ!?」


「ち、知暖先輩…っ?」




 ぎゅっと目をつぶって顔を背けると、知暖先輩の低い声が聞こえて、おそるおそるまぶたを上げた。

 知暖先輩はお弁当を階段に置いて、私に向かって伸ばされた腕を立ちながらひねり上げる。

 それから私を見てやさしくほほえみ、人差し指を口の前に立てた。