よ、“よかった”…?

 目を細めてほほえむ知暖(ちはる)先輩に見つめられて、じわっと顔の熱が上がってきている気がして、私は顔を(そむ)ける。




「家族想いで、ひかえめで、健気(けなげ)で、かわいくて、料理もできて…優衣(うい)って、いい子だよね?」


「え…?」


「――よぉ。女とランチとはいいご身分だな」




 とつぜんのほめ殺しにドキッとしたとき、知らない男の人の声が聞こえてきて、びっくりしながら振り向いた。

 すると、私たちのうしろに不良男子が5~6人立っていて。




「…なんの用?」




 知暖先輩はほほえみながらも、いつもより冷たい気がする声で尋ねる。




遠藤(えんどう)、てめぇ、滝高トップの吉田(よしだ)さんよりハバきかせてんじゃねぇぞ。吉田さんに負けたナンバー2は日陰で大人しくしてろや」