背中に知暖先輩の体温を感じて、バクッバクッと鼓動が大きくなった。
うわずった声が私の気持ちを表していて、抱いてしまった恋心をはっきりと自覚する。
凛恋さん…ごめんなさい…。
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トイレ事件があった翌週、私は今まで以上に気を遣う生活を送っていた。
凛恋さんにも、知暖先輩にも私の気持ちを気づかれないように振る舞って、凛恋さんが知暖先輩にアプローチするところを、見ないフリして。
知暖先輩にやさしくされるたび、ときめく胸を抑えこむのはなかなか大変。
そんななか、凛恋さんが朝早くから出かけるということで、いつも用意してもらっているお弁当が、今日はなしになった。
凛恋さんにはコンビニで調達して、ともうしわけなさそうに言われたのだけど…。
日ごろの感謝をこめて、私がお弁当を作ることにした。



