【短】ふびん女子は、隠れ最強男子の腕のなか。



 アザ?とびっくりして、セーラー服のそでを少し上にずらした知暖先輩の手元を見る。

 そこには確かに、指の形まではっきり残ったアザができていて、ゾッとした。



「他には?」


「あ…え、えっと、つかまれていたのはそこだけで…あの、口をふさがれて、声が出なくて…1年生の女の子が助けてくれたんです」




 低い声で聞かれて、知暖先輩の顔色をうかがいながら説明すると、先輩は無表情で「そっか」とつぶやく。




「…ごめんね、優衣。こんなバカなことするやつがいるなんて…俺も、手ぬるかったみたいだ」




 知暖先輩は無表情のまま、私の手首をするりとなでた。

 知暖先輩…もしかして、怒ってる…?




「二度とこんなことが起きないように、徹底的(てっていてき)にシメるから。…本当にごめん、怖かったでしょ?」