【短】ふびん女子は、隠れ最強男子の腕のなか。

「あ、う、うん。真陽ちゃんがすぐに助けてくれたから…」




 真陽ちゃんの説明を聞いて私に視線を向けた仁木くんに、緊張(きんちょう)しながら答える。




「そうか…なにかあれば俺も力になる。えんりょなく頼れ」


「え…あ、ありがとう、仁木くん」




 そんなふうに言ってもらえるとは思ってなかったから、びっくりした。

 仁木くんはクールに私を見て口を開く。




「階段のところにいたの、笹森を待ってるんだろ。早く戻れ」


「う、うん。…それじゃあ真陽ちゃん、本当にありがとう。またね」


「はい、また!この変態男は職員室に突き出しておくので、ご安心ください!」


「あ…ありがとう。任せちゃってごめんね…」


「いえ!」




 笑顔で答えてくれた真陽ちゃんにもうしわけなく思いつつ、手を振って、知暖先輩が待っている階段に戻った。