【短】ふびん女子は、隠れ最強男子の腕のなか。

「そうでしたか…であれば、今後は一緒にトイレに行きましょう。私、空手をならっているので」




 にっこり笑う真陽ちゃんの提案をもうしわけなく思いつつ、またこんなことがあったら…と眉を下げて、私はうなずいた。




「…うん、お願いしてもいい、かな?」


「もちろんです!」




 それから、連絡先を交換しましょうと言われたんだけど、スマホがないことを説明して、トイレに行きたいときに真陽ちゃんの教室へ行くことに。

 2人でトイレを出ると、廊下にはさっきの不良男子と、転校初日にあった仁木(にき)くんがいた。




「た、大我(たいが)先輩っ!」


「寺岡…に、笹森、だったか。これはなんだ?」




 私の名前、知ってるんだ…。

 それに、真陽ちゃんとも知り合い、みたい…?




「あぁ、その男が女子トイレに入りこんで優衣先輩をおそっていたもので…」


「…なに?大丈夫か?」