【短】ふびん女子は、隠れ最強男子の腕のなか。



 笑って答えたあとに、床にたおれこんでいる不良男子を見て「えっと」とつぶやいた。

 この人…どうしたらいいんだろう?

 とりあえず、知暖(ちはる)先輩に知らせる…?




「あ、この男はひとまず廊下(ろうか)に出しておきますので、ご安心ください」


「え…あ、ありがとう。手伝おうか…?」


「いえ、優衣先輩にそんなことはさせられません!私けっこう力持ちなので、大丈夫ですよ」




 真陽ちゃんはにこっと笑って、不良男子をトイレの外まで引きずっていく。

 完全に気絶してるからしばらくは大丈夫、と聞いて、おたがいトイレに来た用事を済ませることにした。

 かがみの前にならんで手を洗うと、真陽ちゃんからかがみ越しにじっと見つめられて、なにかついてるかな、と自分の姿を見る。