【短】ふびん女子は、隠れ最強男子の腕のなか。



 話しかけられた…!?

 ビクッとして顔を上げると、前の席の不良男子に顔を向けられていただけじゃなく、教室中の男子がこっちを見て、席を立とうとしていた。




「え…あ…」


「その前髪、編みこみってーの?めっちゃかわいいな。清楚(せいそ)なお嬢さんって感じでさ~」


「てか目も大きくて肌も白いし、超美少女じゃん。顔なんて俺の半分しかねーんじゃねぇの?」


「なぁ、彼氏いんの?いないなら俺と付き合わね?」


「バカかお前、俺のほうがいいに決まってんだろ!」




 ぎゃはは、と大きな笑い声がひびいて、身を硬くする。

 あっという間に不良男子たちにかこまれてしまって、席を立つことも、廊下(ろうか)に逃げることもできなくなってしまった。

 見た目も怖いし、距離も近いし、なんて答えればいいのか分からない。