「大丈夫ですか。おけがはありませんか?」
「は、はい…ありがとう、ございます…」
強くつかまれた痛みが残っている左の手首をなんとなく押さえながら、目を丸くして答えると、女の子は自己紹介をしてくれた。
「私は1年3組の寺岡真陽と言います。美少女さんのお名前は?」
「あ…えっと、私は笹森優衣です。2年2組、だよ」
美少女さん…?と困惑しながらほほえんで自己紹介を返せば、女の子は「はぅっ」となぞの声を出す。
だ、大丈夫かな…。
というか、この学校って私の他にも女の子、いたんだ…。
「先輩でしたか。私の他にも女子がいたなんて知りませんでした」
「うん、私も…あ、私は一昨日転校してきたばっかりなんだけど」
「そうなんですね。だから優衣先輩の存在が耳に入らなかったんですか」
「そうかも」



