【短】ふびん女子は、隠れ最強男子の腕のなか。



「前からかわいいなーと思ってたんだ。でも赤髪の野郎がそばにいるせいで声かけられないからよぉ。こうやってあんたが1人になるトイレで待ち伏せてたんだぜ?」


「――!」




 やだ、やだ…っ。

 知暖先輩に助けを求めないとっ、でも、まったく声が出ない…っ!

 どうしよう、どうしたらいいの…!?


 不良男子から(のが)れようとすると、手首をつかむ力が強くなって、痛みで顔がゆがむ。

 そのとき、なにか言おうとした不良男子の視線が私のうしろにそれて――。




「チッ、“イケメン狂い”か…!」


「――!」


「な…っ!?」




 うしろを見ると、私と同じセーラー服姿の女の子がトイレの入り口に立っていた。