よその女子と、お姉さんが一緒とはいえ同じ家に住むなんて…。
彼女さんがどんな気持ちになるか、と眉を下げていると、知暖先輩は目を丸くして「え?」と言った。
「彼女なんて、いないけど」
「えっ?で、でも、朝電話してた女の人が…」
「あぁ、凛恋さん?あの人は姉さんの友だち。よく俺にも声かけてくれるってだけだよ」
にこっと笑う知暖先輩を見て、おどろきつつ安心してしまったのはなぜだろう。
それでも知暖先輩たちにもうしわけない、と口元に手をやると、知暖先輩は体の向きを変える。
「おいで。“どんなところでも住めれば大丈夫”、でしょ?」
私を見ていたずらにほほえむ知暖先輩に負けて、私は「…はい」と答えてしまった。



