【短】ふびん女子は、隠れ最強男子の腕のなか。



 視線を落として、スクールバッグのベルトをきゅっとにぎる。

 お父さんは叔母さんが私をきらってることも知らないし…。

 やっぱり、お父さん自身が大変なときに、よけいな心配をかけたくない。


 私は、なんとかやっていけると思うし…。




「…分かった。とりあえず、うちに来なよ。俺と姉さんの2人暮らしなんだけど、姉さんも事情を話せば分かってくれると思うから」


「え…」




 顔を上げて知暖先輩を見ると、にっこり笑いかけられる。




「お父さんに話してもいいって思えるまで、うちにいていいよ。結局お父さんには話さないとしても、姉さんの友だちとルームシェアできないか聞いてみるから」


「そ、そんな、もうしわけないです…っ!知暖先輩には、彼女もいるのに…!」