【短】ふびん女子は、隠れ最強男子の腕のなか。



 頭にそりこみが入った男子にへらへらと笑いながら手を振られて、私はなにも言うことができないまま、ただ、会釈(えしゃく)を返した。

 教室のうしろまでたどり着くと、見えないのに背中に視線を感じるようで、ぎゅっと目をつぶりながら、ぎこちなくイスに座る。


 わ、私…これから2年、この学校でやっていけるのかな…!?




「――で、――だ。ホームルームは以上、お前たち、笹森にからんで怖がらせないように。じゃあな」


「「へーい」」




 キーンコーンカーンコーン、と鳴るチャイムと一緒に、先生が教室を出ていく足音がした。

 ガラガラと扉が閉められると、私はスクールバッグにそっと手を伸ばして、教科書や筆箱を取り出そうとする。




「なぁ、どこの高校から来たんだ?」


「えっ…?」