「…これはちょっと、心配すぎるな。元の家は遠いの?」
知暖先輩は乾いた笑みを浮かべながら首に触れて、私に視線を向ける。
「はい…電車を乗り換えていかないと」
「そっか。うーん…しばらく俺の家に来る?」
「えっ?」
目を丸くして知暖先輩を見ると、先輩は眉を下げてほほえみながら私に顔を向けた。
「お父さんに連絡とって、今の状況伝えなよ。かんたんに転校できないとしても、家は防犯がしっかりしてるとこを探してもらったほうがいい」
「あ…でも、スマホは叔母さんの家に置いてきてるので…それに、大変なときに心配をかけたくないし…どんなところでも、住めれば大丈夫です」
「女の子が1人でこんなところに住むのはあぶないよ。娘が知らないところでこんな状況になってるほうが、お父さん、いやだと思うけど?」
「…でも…」



