滝戸高校での1日は、知暖先輩が私を保護してくれたこともあって、何事もなく終わった。
3年生の授業を聞き流しながら、教科書とにらみ合って自習するのは慣れないけど、言葉通り知暖先輩がちょこちょこ解説してくれたし。
2年2組の教室に入って感じた学校生活への不安もかなり薄れた気がする。
「優衣、一緒に帰ろうか」
「えっ…い、いいんですか?下校時間までお世話になっちゃって…」
となりから声をかけてきた知暖先輩を、びっくりしながら見ると、「うん」とほほえみかけられた。
知暖先輩は席を立ってスクールバッグを肩にさげながら、私を横目に見て言う。
「優衣かわいいし、うちのやつらにあとつけられたら大変だから、家まで送るよ」
「えっ…!?い、家までなんてっ」



